【お題挑戦中:1/3】 「僕の持論」

仕事をやめて、1ヶ月が経ちました。

ようやく今の生活にも慣れてきました。
のんびりはしておりますが・・・おかねの不安はありますが・・・(汗)、
仕事中にはあんまり実行できなかった朝ごはんを毎日つくる、ができて嬉しいです。
(お仕事されながら朝ごはんも作れる方、本当に尊敬します!)

先日より、第2段階(?)「旦那さんのお弁当づくり」が加わりましたので、
引き続き頑張ってまいります。
本当に初歩の初歩ができない私だなぁ…ちょっとヘコむ。。

*

さて今日から3回は、「Story」の更新をすると決めました。

お題配布元は、言の葉屋 (http://kotonoha.higoyomi.com/)さんです。
ランダムで3題出してくれるという、面白いチョイスにひかれました*


私のランダム3題は、

 1.これまでに積み上げてきた事を否定するのは、これまでの年月を否定する事に他ならない
 2.境界線が曖昧すぎて、どこまで踏み込んでいいのかわからない
 3.手を取ってもらえないのならば、自分から相手の手を取ればいいだけの事ではありませんか?

以上、なかなか素敵なコトバをいただきました!

というわけで、朝ごはんづくり・お弁当づくりに続いて(笑)チャレンジ項目です!

記念すべき、1題目。

 1.これまでに積み上げてきた事を否定するのは、これまでの年月を否定する事に他ならない
 2.境界線が曖昧すぎて、どこまで踏み込んでいいのかわからない
 3.手を取ってもらえないのならば、自分から相手の手を取ればいいだけの事ではありませんか?



よろしくお願いいたします。

↓↓

 










これまでに積み上げてきた事を否定するのは、
 これまでの年月を否定する事に他ならない」


というのが、僕の持論です。

あ、いやいや。かっこつけてるつもりはないですけどね。

過去の自分があってこそ、今の自分があるんですよ。
いやいやいや、キモいじゃないですから。カユいもなし。

ちゃかさないでくださいよ。


 *

 *

 *


自分の仕事机から書類の束がすべり、散り落ちるのを見た瞬間、
過去にきいたその言葉が、突然、私の胸を突いた。


 その言葉の主は、高校時代の同級生である。
 同い年のはずなのに、何故か敬語で話している。

 あれは、電話だったと思う。


落ちた書類は、当たり前だが自分で拾い集める。
拾うのを手伝ってくれる人は、もうこの時間には居ない。
オフィスには、私1人になってしまった。
トットットッ、とまとめた書類の束の一番上で、
私の名前が記された押印待ちの「確認欄」が、ぽっかりと白く空いていた。


 あれは、夜だったと思う。
 これくらいの、夜だったと思う。
 きっと母が作った夕飯も食べ終え、自室に戻り、布団にくるまり、
 布団が作る暗闇の中、青白く光る液晶画面を見つめていたのだと思う。


多忙の極みを再現したような、その空欄を見つめ、
ちょっと迷いつつも、
内容も知らない書類の確認欄に印を押すため、私は引き出しへ手を伸ばした。


 迷いつつも、何度も布団の闇の中で、身を転げながら、
 電話帳からその人の電話番号を呼び出しては、消す。
 呼び出しては、消す。
 一通り繰り返したのち、やっと発信ボタンに親指を伸ばしたのだと思う。


そして


 きっと


 押したのだ。


こんな風に。


 *

 *

 *


もしもーし。

おー、こんばんは。

いやいや、大丈夫ですよ。

今?ネットサーフィン中でした。

あぁ、いいですよ。大丈夫です。

聞くだけしかできませんけど、いいんですか。

どうしたんですか。


はい、はい。

はい。

うん。

いやいやいや、そんなことないでしょ。

えー、そうなんですか。

そんなことないと思うんだけどな。

うん。

はい、はい。


うん。


ああ。それはありますね。


 *

 *

 *


判子のふたを閉めそこねたらしく、かすめたインクが指を赤く汚した。

相変わらず書類山積みの机上のため、
反対の手でティッシュ箱を探し当て、1枚取り出し、ぐいっとぬぐう。

きっとこの押印した書類の存在も、来週には忘れている。
今、少しだけ抱いた罪悪感も、来週にはきっと忘れている。

でもいつか、こんな風に、
唐突に、ドッと、思い出すのだろうか。

敬語で、静かに、布団の闇に しとりと溶け込む言葉を。


 *

 *

 *


これまでに積み上げてきた事を否定するのは、
 これまでの年月を否定する事に他ならない」

というのが、僕の持論です。

あ、いやいや。かっこつけてるつもりはないですけどね。

過去の自分があってこそ、今の自分があるんですよ。
いやいやいや、キモいじゃないですから。カユいもなし。

ちゃかさないでくださいよ。


まあ、ただ、否定したっていいんですよ。
さっきの言葉なんて、結局、
「否定することになるけど、それでもいいの?」って言葉ですからね。

ただの、そんな言葉ですよ。
うん。

だから、それを僕は、

「いいよ」って言ってもいいですし、
「いやいや、そんなのイヤだよ」ってなったって、イイと思って、ますよ。

その言葉だけ、どこかで思いだせればいいかなって。

それで、答えを出さなきゃいけないんだったら、
思い出した時の自分が決めたらいいと思いますし。

そういう意味として、僕は、この言葉を覚えてるんですよ。

かっこいいでしょ。


 *

 *

 *


過ぎ去った自分を嫌いになるのは、何と簡単なことなのかと思う。

もう今この瞬間が全てだと思ったら、
インクで指が汚れた私も、とっくの昔の過去である。
その指をぐいぐいとぬぐう私も、今にとっては過去である。

それを否定するのは簡単だ。
それを、あの人は考えろと言いたかったのだろうな。

少なくとも、私は、そうだ。

あの時の電話を、否定はしたくない。




私は一通り、都合よく、哲学的に解釈し終え、
もういい加減帰らないと、と席を立った。



立ち上がった拍子に、ひらり、と書類が1枚落ちる。



つまみ上げようとした瞬間だった。


電話越しの「かっこいいでしょ」が、
突然、耳元に蘇り、


過去の私も知らない、何とも複雑な感情に、
一人、顔をしかめて立ち尽くすしかなかった。




* *  *  END



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by resounding | 2014-07-08 21:15 | Story

Hana*(はななめこ) と申します。好きなものを。


by Hana*